さまざまな消費者事故の原因究明と再発防止策の検討を行うことを目的に、消費者庁が2012年10月の発足を目指しているのが「消費者安全調査委員会」(仮称)だ。国土交通省の外局である運輸安全委員会以外では、国内初の常設の事故調査組織として大きな期待を集めている。しかし、明治大学教授の向殿政男氏は、実効性に懸念ものぞかせる。「幅広い分野の事故を扱うには規模も権限も弱い」(同氏)からだ。

 消費者安全調査委員会は、学識経験者や有識者など7人の非常勤委員から成る8条機関で、その下に専門知識を持つ専門家で構成する事故調査部会を設ける。実際の調査はこの部会が当たり、事故内容に応じてあらかじめリストアップしてある専門家に調査を委託する形式を考えている。

 「事故調査に長けた人材が必要なので技術士などにも参加してもらいたい」(同庁消費者安全課白石裕美子氏)。事故現場や関係各所に立ち入っての証拠物件の調査や、関係者に質問したり報告を求めたりといった「運輸安全委員会と同等」(白石氏)の調査権限も与えられる。

〔以下、日経ものづくり2012年6月号に掲載〕