Liイオン2次電池を安全に使うために必要な電池管理システムは、冗長系のICやセルバランス用の回路など多数の部品からなる。ルネサスエレクトロニクスは部品の多くを内蔵した電池監視ICを開発し、システムコストを半減させることを狙う。さらに差動型の電流通信を採用して雑音特性を高めた。(本誌)

 ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などに搭載されるLiイオン2次電池の安全性や利用効率を高めるには、セルの電圧や温度を正確に速く測ることや、各セルの電圧を揃える「セルバランス」が重要である。
 ルネサス エレクトロニクスはこれらを実現するLiイオン2次電池用の電池監視ICを開発中で、2012年後半のサンプル出荷を予定している(図)。このICを使えば、現行のHEV/EVに使われる電池管理システムの部品コストを半減できるとみる。
 当社はHEV/EVの市場規模が2016年に約700万台、2018年に1000万台以上になると予測しており、そのうちLiイオン2次電池を搭載する車両の比率が80%以上と見込む。その全ての車両に電池監視ICが使われるはずで、今後その市場で約30%のシェアを狙う方針である。

以下、『日経Automotive Technology』2012年7月号に掲載
図 電池監視ICの構成図と主な仕様
2012年後半にサンプル出荷する予定。冗長系の電圧測定機能やセルバランス機能を内蔵した。
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