欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 トヨタ自動車と米GM社を上回り、世界最大の自動車メーカーになるというドイツVolkswagenグループの野心を実現するための重要な要素となるのが、「MQB」である。
 これは、様々な車種やブランドに対して横断的に使えるモジュール部品群で、同社の戦略の最新の要素である。MQBを導入するもう一つの目的は、グループの商品競争力、とりわけ生産量の多いBセグメントからDセグメントまでの横置きエンジン車の競争力を長期にわたって高い水準に保つことにある。
 Volkswagenグループ内では、新しいMQBのほかに、ドイツAudi社が責任を負う縦置きエンジン車用のモジュール群である「MLB」、ドイツPorsche社が責任を負う後輪駆動車用の「MSB」がある。Volkswagen社はMQBと、同社の最も小さいモデルシリーズである「up!」やスペインSeat社の「Mii」、チェコSkoda社の「Citigo」などから構成される「New Small Family」の開発に責任を負う。

以下、『日経Automotive Technology』2012年7月号に掲載