ホンダは「ステップワゴン」「同スパーダ」を部分改良し、新たに開発したCVT(無段変速機)とアイドリングストップ機構を全タイプに採用した。この結果、5ナンバー、排気量2.0Lクラス、全高1800mm以上、7/8人乗りとしてトップ(2012年4月現在:同社調べ)の低燃費を実現した。

 同社は2011年の「東京モーターショー」で「全クラス燃費トップ」を目標とすることを表明しており、その一角が実現したことになる。JC08モードの燃費は前輪を駆動するステップワゴンのGタイプ(タイヤは15インチ)が15.0km/L、同スパーダのS、Zタイプ(同16インチ)が14.8km/L。改良前はGタイプで13.4km/Lだったから、約12%向上した。なお、メーカーオプションによって燃費が変わる場合がある。
 燃費向上に貢献したのはアイドリングストップ機構、CVT、空気抵抗、LED(発光ダイオード)ランプによる消費電力低減の順(図)。
 アイドリングストップ機構の基本仕様は標準的なもの。エンジンが止まり、クランク軸で駆動する主オイルポンプが働かない間、電動のオイルポンプがそれを補う。
 軽自動車などではタンデムソレノイドのセルモータを使い、車速がある程度下がるとアイドリングを止めてしまうことが多くなってきたが、それを使わず、クルマが完全に止まってからアイドリングを止める方式とした。
 アイドリングストップをすれば、頻繁に始動することになる。このため再始動するときの騒音が気になってくる。競合する日産自動車の「セレナ」はアイドリングストップ後の始動に騒音の低いフランスValeo社製のベルト駆動式スタータ兼オルタネータを使っている(アイドリングストップ後でない始動は普通のスタータモータを使う)から、負けられないところだ。

以下、『日経Automotive Technology』2012年7月号に掲載
図 燃費向上の内訳
図 燃費向上の内訳
寄与率はアイドリングストップ機構、CVT、空力ボディ、省電力化の順。