フィアットグループオートモービルズジャパンは2012年2月、Alfa Romeoブランドの新型「ジュリエッタ」を発売した。「147」より車体を大きくしながら、質量の増加を最小限にとどめ、燃費を向上させた。

 イタリアFiat社はジュリエッタからCDセグメントの新プラットフォーム「コンパクト」の採用を始めた。同プラットフォームは2012年後半に発売する米Chrysler社の「Dodge Dart」および中国向けのFiatブランド「Viaggio」に展開する計画だ。
 組み合わせるエンジンはジュリエッタの場合、1.4Lおよび1.75Lのターボチャージャ付きガソリンエンジン2種類。欧州では1.6Lと2.0Lのディーゼルもあるが、日本には導入されない。
 車体寸法は全長4350×全幅1800×全高1460mm、ホイールベースは2635mm。車両質量は1400kg。これは従来車種の147よりも全長が126mm長く、全幅が71mm広い。ホイールベースも89mm伸びている。
 新プラットフォームでは軽量化を狙い、前部のフレームの構造を見直した。サイドメンバの下にサスペンションのサブフレームにつながる補助メンバを設置した上で、上部の車体は簡素にしているのだ。この構造によって同じCセグメントに属するFiat社の「Bravo」と比べた場合、前部のフレームは8%軽くなっているという。
 Bravoでは65%にとどまっていた高張力鋼板の適用率も90%以上に高めている。図にその内訳を示すが、高張力鋼板が84%、熱間プレスの高張力鋼板が7%となっている。高張力鋼板は、Aピラーの下部、フロアのクロスメンバ、センタートンネルなど、熱間プレス鋼板は、サイドシル、前後に通したフロアメンバなどに使った。
 アルミニウム合金や樹脂の軽量素材も増えている。アルミ合金はバンパビーム、クラッシュボックス、補助メンバに使った。また、後部のバンパビームおよび補助メンバに取り付ける衝撃吸収部材には熱可塑性樹脂を採用している。
 新プラットフォームは中央部のフロアパネルとサイドメンバの寸法を変えることで、多様な車種に対応できるモジュラー構造を取っており、派生車に容易に適用できるという。

以下、『日経Automotive Technology』2012年7月号に掲載
図 高張力鋼板を90%以上に適用
図 高張力鋼板を90%以上に適用
(a)Fiat社「Bravo」では65%にとどまる。(b)ジュリエッタでは熱間プレスの高張力鋼板が7%、高張力鋼板が84%と合計で90%以上に高めた。