電気自動車(EV)開発会社のSIMDriveは、2011年1月から取り組んできた先行開発車事業第2号の「SIM-WIL」(以下WIL)が完成したと発表した(図)。この事業は2014年ごろの量産化を想定した先行開発車の試作を目的としたもので、将来、EVビジネスに参入を検討している34の企業・団体が参加した。

 WILは、先行開発1号車の「SIM-LEI」(以下LEI)よりも電池の搭載量を増やすことによって、一充電あたりの航続距離351kmを実現したほか、Bセグメントの車体に、Eセグメント車に相当する広い車内スペースを実現したとしている。また0→100km/hの加速性能は5.4秒と中級レベルのスポーツカーに匹敵する。
 先行開発2号車のLEIは、容量24.9kWhの東芝製Liイオン2次電池「SCiB」を積み、航続距離は発表当時333km(JC08モード)としていた(後に、走行抵抗などを過小に見積もっていたとして268kmに下方修正)。これに対し、今回のWILは容量35.1kWhのパナソニック製Liイオン2次電池(18650型)を積み、航続距離は351km。修正後のLEIの数値と比較しても、1kWhあたりの走行距離はWILのほうが1割程度短い計算だ。
 この点について、LEIに続いて開発責任者を務めた同社執行役員・車輌開発統括部長で、プロジェクトマネージャーの眞貝知志氏は「SIM-LEIは“効率原理主義”で、デザインも空力特性を最優先して決めていた。今回は、より広い消費者に受け入れられる“Bセグメントのど真ん中”の車両とすることを狙った」とWIL開発の狙いを語る。

以下、『日経Automotive Technology』2012年7月号に掲載
図 SIM-Driveの新型電気自動車(EV)「SIM-WIL」
図 SIM-Driveの新型電気自動車(EV)「SIM-WIL」
一般の消費者にも受け入れられやすいデザインとしつつ、351kmの航続距離を確保した。