3カ月遅れで量産開始

 経営悪化に苦しむ“液晶のシャープ”が、切り札として期待する技術を離陸させる。酸化物半導体であるIGZO(In-Ga-Zn-O)TFTを駆動素子に使った中小型の高精細液晶パネルを量産開始したのだ。これまで、テレビ向けの大型パネルを手掛けてきた亀山第2工場に導入することで、液晶事業の収益改善を目指す。

 2012年3月に生産を開始し、同年4月に本格量産に移行した。シャープはこれまで2011年中の量産開始を計画していた。「IGZO TFTの基本技術は開発できていたが、第8世代のガラス基板(2160mm×2460mm)を使う亀山第2工場で安定的に量産する技術の確立に時間がかかった他、供給メーカーの製品に搭載する上でのさまざまな課題があった」(シャープ 執行役員 ディスプレイデバイス事業本部長の方志教和氏)とする。約3カ月遅れで、「世界初」(同氏)となるIGZO TFTの量産が始まった。

『日経エレクトロニクス』2012年4月30日号より一部掲載

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