雑誌 特集

魔法のUI

高橋 史忠、進藤 智則、内田 泰=日経エレクトロニクス
2012/04/27 09:00
 

第1部<本格化する競争>
キーワードは「ナチュラル」
UIを制する者が市場を制す

次世代のユーザー・インタフェース(UI)技術の開発競争が激しくなっている。表舞台に躍り出たのは、音声やジェスチャーといった「古くて新しい入力技術」である。そこで成功を収めるには、UIを単なる機器の付属品と考える発想を捨てることが必須だ。

複数の入力技術を組み合わたUIが当たり前に

 2012年3月下旬に公表された、ある調査結果が、ユーザー・インタフェース(UI)開発に携わる関係者の関心を集めている。米Apple社が2011年10月に発売したスマートフォン「iPhone 4S」に載せた音声入力UIサービス「Siri」についての調査だ。

 米調査会社のParks Associates社が、米国のiPhoneユーザーの数百人を対象にSiriが提供する機能の満足度や利用動向などを聞いた。満足度について過半を占めたのは、「とても満足している」という回答。「満足している」という回答を合わせると、実に全体の75%を超えた。

 もちろん、今回の調査結果だけでSiriの実力を結論付けるのは時期尚早だろう。調査対象がSiriを利用する先端ユーザーだという点に加えて、音声入力UIには多くの技術提案が話題を呼んでは、結局のところ普及拡大の決め手を欠いてきたという“過去”がある。

覇権を争う開発競争が始まる

 それでも、Siriへのエレクトロニクス業界の関心は極めて高い。この数年でタッチ・パネル操作による新しいUIを、あっという間に業界標準にしてしまったApple社の「次なる矢」という認識が強いからだ。

 Siriの登場は、これから本格化する次世代UIの開発競争に向けた端緒に過ぎない。今、人間のさまざまな振る舞いや、その周辺で起きる環境の変化を、デジタル機器の入力に使う新しいUIを生み出そうとするうねりが広がっている。

『日経エレクトロニクス』2012年4月30日号より一部掲載

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第2部<乗り越えるべき壁>
機器とユーザーを自然につなぐ
次世代に向けた四つの挑戦

次世代UIの開発では、機器とユーザーを自然につなぐことがカギになる。ユーザーと機器の対話を成り立たせ、リアルな印象を与える。そのためには、ユーザーになるべく嫌な思いをさせないことが大切だ。

次世代の入力技術やUIが抱える課題

 次世代のユーザー・インタフェース(UI)として期待を集める、音声やジェスチャーなどのNUI(natural user interface)技術には、まだ多くの課題がある。どんなに自然なUIであっても、ユーザーに操作を学んでもらうことは避けられない。その過程で嫌な印象を与えてしまうと、ユーザーは新しいUIを操作するハードルを越えることをあきらめてしまう。

 では、何が課題になるのか。ここでは、挑戦すべき主要な課題と技術テーマを四つ挙げた。

 まず、意図した結果と違う反応が機器から返ってくると、ユーザーは戸惑い、嫌な思いをするということ。ユーザーと機器の適切な対話をうまく成り立たせるには、インターネット上のデータベースを活用して、入力技術の認識精度を高めたり、意図を確認したりする工夫が必要だ。

 第2に操作ボタンが“消えていく”中で、触感など「機器を動かしている感覚」も重要なテーマになる。操作に対する機器側の反応をうまく設計しなければならない。

 第3は、音声やジェスチャーなどの認識機能を、理想的な環境で使えることはほとんどないという点である。このため、周辺環境で生じる雑音の影響を取り除くことが不可欠だ。

 最後は、NUI技術の最も根本的な課題である。それは「ユーザーの動作や発話が、機器を操作する意図を伴ったものなのか」ということ。ユーザーの日常の振る舞いと、入力動作の境界を判別する技術の開発が解決のカギだ。それでは、それぞれのテーマに対する試みを紹介しよう。

『日経エレクトロニクス』2012年4月30日号より一部掲載

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第3部<UIを超えて>
全CMOSセンサに距離画像
空間をモデル化するクローラ

ジェスチャー入力装置として注目されている距離画像センサだが、応用の可能性はそれだけにとどまらない。人やモノ、周辺環境全体を3次元モデル化するセンサ端末として、将来のデジタル機器のユーザー体験(UX)に多大な影響を与えそうだ。

人間や環境のセンサとしてさまざまな用途へ広がる

 「例えば、超小型の距離画像センサをカラスに付けて、センサ・ネットワークのように環境中にバラまいたらどのようなデータを収集できるか。距離画像センサの応用として、そんな発想があってもいい」──。

 2012年3月、東京で開催された米Microsoft社のモーション入力センサ「Kinect」に関するワークショップでは、ユーザー・インタフェース(UI)やインタラクション分野の研究者が集まり、Kinectのインパクトやその応用について議論が繰り広げられた。冒頭のコメントは、Microsoft社の研究部門であるMicrosoft Research(MSR) Asia、Human-Computer Interaction Group Associate Researcherの矢谷浩司氏が語ったものだ。

「ジェスチャーに限定しない」

 Kinectの出現により価格が下がり、一躍ポピュラーな存在となった距離画像センサだが、ゲーム機向けKinectの印象が強いこともあり、距離画像センサというと「専らジェスチャー操作のための技術」というイメージが先行している。ところが、実際にはジェスチャー入力だけにとどまらない大きな可能性を秘めている。

『日経エレクトロニクス』2012年4月30日号より一部掲載

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