発展経緯を温ねて金型の基本を知る
現代のプラスチック(樹脂)製品は、耐熱性や強度の向上により、非常に広い範囲に適用されるようになった。成形技術も、例えば型締め力6300tf(63MN)といった超大型成形機、射出容量1cm3のマイクロ成形機、200個以上の超多数個取りホットランナ金型といった多様なアイデアが商業化されている。樹脂材料の面でも、スーパー・エンジニアリング・プラスチックの登場で、耐熱温度領域は300℃を超えて400℃にまで到達し、応用範囲を広げている。
これらの樹脂部品を成形する金型の技術革新も、特殊鋼の開発、機械工作技術の開発、表面処理技術の実用化、熱処理技術の発明といった周辺技術の進歩によって達成されてきた。これまでの金型技術の発展は、樹脂材料、成形機、周辺技術の相互の技術開発が有機的に寄与した結果といえよう。こうした金型の進歩は、射出成形の高度化に大きく貢献している。
〔以下、日経ものづくり2012年5月号に掲載〕
小松技術士事務所
松岡技術研究所