先般、半導体メーカーのエルピーダメモリの倒産(会社更生法適用申請)が話題になった。この件が大きく取り上げられた理由の1つに、同社は公的資金が投入された国策会社だったことがある。国が特定の企業や産業にどこまで関与すべきかは古くて新しい議論だが、円高や海外企業との競争など製造業を取り巻く環境が厳しくなる中、大規模国家プロジェクトや産学連携の推進など積極的な支援を求める意見が多い。(高野 敦)

 前出のエルピーダメモリのように、経営危機に陥った企業の支援に国が関与した例として、金型メーカーの富士テクニカと宮津製作所の合併が挙げられる。その際は、政府の出資する企業再生支援機構が両社の合併を全面的に推進した上で、合併会社に取締役を派遣している。さらに、ソニー/東芝/日立製作所が中小型の液晶パネル事業を統合して発足した新会社のジャパンディスプレイには、官民ファンドである産業革新機構が2000億円(全株式の70%)を出資した。

 これらの例のように、企業の支援に国が関与することの是非を尋ねたところ、半数以上が「関与するのはやむを得ない」(51.3%)と回答した。「積極的に関与した方がよい」(16.4%)も含めると、全体の2/3以上は国が関与することを肯定的にとらえている。

〔以下、日経ものづくり2012年5月号に掲載〕