九州工業大学先端金型センター特任教授の中村克昭氏が中心となり開発した「RMA-CREO」(以下、CREO処理)は、鋼材をはじめ、アルミニウム(Al)合金、マグネシウム(Mg)合金、銅(Cu)合金などを対象に、金属の結晶粒を微細化することで材料の高強度化や高疲労強度化を図る技術だ。この技術が今、熱処理技術として注目を集めている。微細化と熱処理の同時効果で大幅な高強度化を図れる上に、従来の棒材を加工・熱処理する工程をCREO処理に置き換えることで、工程数を大幅に削減できるからだ。

 生産工程で熱処理を必要とする材料には、鋼材や熱処理型のAl合金などがある。こうした熱処理型の材料は、自動車部品などに多用されており、軽量化のニーズが高い。CREO処理で材料の強度を向上できれば、部品の薄肉化/軽量化につながる可能性がある。しかも、時間もエネルギもかかる熱処理工程が削減できると、生産リードタイム削減とコスト低減の双方において高いメリットが望める。

 では、CREO処理を用いると、なぜ熱処理工程を削減できるのかについて、具体的に見ていこう。

〔以下、日経ものづくり2012年5月号に掲載〕