ドイツRoechling社は車体底面カバー向けの樹脂材「Seeberlite」を開発した。従来のPP射出成形品より軽く、吸音性、遮音性がある。遮熱グレードを使えば高温になる排気管周りを含めて底面全体をカバーできる。日本市場ではスターライト工業と提携し商品開発を進める。

 ドイツPorsche社は車体の底面全体を覆うカバーをスポーツセダン「パナメーラ」に採用した。カバーの素材はドイツRoechling社の「Seeberlite」。Porsche社だけでなく、ドイツの自動車メーカーを中心に採用が広がっている。日本の自動車メーカーに対しては当社が成形までを担当し、カバーの形で納めることができる。
 SeeberliteはPP(ポリプロピレン)の繊維に約25~40%のGF(ガラス繊維)を均質に混ぜたマットを用途に合わせた組成に積層したもの。プレス成形すると、表面の軟かくなったPP繊維がバインダとなりシート状の成形品になる。スタンパブルシートと違い、PPを完全には溶かさないので、表面以外は隙(すき)間の多い構造になる。
 現在、主に2グレードを用途に合わせて提案している(表)。まず、エンジンを下から覆うカバー(エンジンカバー)のように高い吸音性能を要求される場所には「Seeberlite2-1400」を勧めている。これはGFが多く、機械的特性と吸音性能が高い。
 客室部分の床を覆うカバー(ボディカバー)は、より軽さを重視する。この場合GFを少な目にして軽くした「Seeberlite4-1000」を勧める。深絞り加工、曲げ加工をしたい用途にも加工性に優れた「Seeberlite4-1000」が向いている。後ろの1000、1400といった数字は面密度(単位はg/m2)である。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載
表 主なグレードの物性
表 主なグレードの物性