韓国ジャーナリストの視点
崔元碩(チェ・ウォンソク)氏
1972年ソウル生まれ。1997年朝鮮日報入社。社会部・文化部などを経て、2006年から2011年3月まで5年間、産業部 自動車産業(Hyundai Motor社)担当。2011年4月から1年間東京で研修。

 2006年から2011年までの5年間、韓国の新聞社『朝鮮日報』で、Hyundai Motor社担当記者として働きながら「自動車メーカーと自動車産業の競争力の源泉は何か」に関して絶えず考えてきた。Hyundai社のソウル本社や、ソウル近郊にあるHyundai Motor社総合技術研究所、海外の研究所、国内外の工場、販売の現場などを取材しながら、Hyundai社の外から見える競争力がほかの自動車メーカーより勝っていると感じたことがほとんどなかったからだ。
 Hyundai Motor社は、ドイツの自動車メーカーのように自動車に対する文化的基盤が優れているというのでもなく、日本の自動車メーカーのように徹底的に造り込むという製造哲学を持っているというのでもない。だから「Hyundai社の競争力を一言で説明してください」と問われたとき、明確に答えることができなかった。
 にも関わらず、なぜHyundai社は最近10年間に急成長したのか。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載