欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 国際的なモーターショーのスケジュールは毎年、デトロイトで幕を開けるが、本当に動き出したと感じるのは3月初旬にジュネーブモーターショーが開幕してからだ。そこには、世界の大手自動車メーカーが集まり、新製品やコンセプトカーを披露する。高性能にチューンされたものから、特別にカスタマイズされたモデルまで、興味深いものからふざけたものまで、幅広いモデルが並べられる。
 ことしは、多くの有名なカロッツェリア(イタリアのデザイン会社)からの出展が注目された。イタリアBertone社は伝説的な「Lancia Stratos」を現代的にアレンジしたコンセプトモデル「Nuccio」を出展した。Pininfarinaは環境に優しい高級スポーツセダンの「Cambiano」を公開した。Italdesign Giugiaro社が展示した4座スポーツカーのコンセプトモデル「Brivido」は、同社が“Volkswagen帝国”傘下のデザイン会社であることを考えると、今後の展開が非常に興味深い。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載