トヨタ自動車製品企画本部製品企画チーフエンジニアの小木曽聡氏
トヨタ自動車製品企画本部製品企画チーフエンジニアの小木曽聡氏
1983年トヨタ自動車入社。シャシー設計やシャシーの先行開発などを経て、1993年から、後に初代「プリウス」につながる「G21プロジェクト」に参加。その後3代目までのプリウスの開発すべてにかかわり、「アクア」の開発ではチーフエンジニアを務めた。

 2009年5月にトヨタ自動車が発売した3代目「プリウス」は、月販目標台数1万台に対して、1カ月でその18倍に当たる約18万台という台数を受注した。その後、2011年5月に発売した「プリウスα」も、発売1カ月で月販目標台数3000台の17倍以上という約5万2000台を受注している。
 こうしたトヨタのハイブリッド車(HEV)の記録的な販売実績に新たな1ページを加えたのが、2011年12月に発売したHEV「アクア」である。発売後1カ月で、受注台数は月販目標台数1万2000台の10倍に当たる約12万台に上った。

物心ついたときから理系

 このアクアの開発でチーフエンジニアとして陣頭指揮を執ったのが、製品企画本部製品企画チーフエンジニアの小木曽聡である。小木曽は初代プリウスからHEVの開発にかかわり、現在はHEVだけでなく、PHEV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)を含めた環境車の開発を統括する。
 小木曽は、東京生まれの東京育ちである。なぜトヨタを就職先に選んだのだろうか。
 「父の仕事の関係で、幼稚園時代を米国で過ごしました。帰国して小学校に入学したのですが、両親が日本人なので日本語を話すことはできても、字を読めなかったのです。しかし数字は理解することができた。物心ついたときから、理系しかなかったんですね(笑)。それにもともと機械好きで、時計にラジオと身近な物を分解しては組み立てたり、時には元に戻らず怒られたり…」

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載