2012年3月に開催された「82nd Geneva International Motor Show(ジュネーブモーターショー2012)」(図)。欧州の経済不安がささやかれるが、開幕後の3日間で31万人以上を集客した。昨年の同期間を上回る。盛り上がる中で自動車メーカー各社が披露したのがプラグインハイブリッド車(PHEV)と小型ハッチバックである。将来と直近の技術の両面で各社が火花を散らしていた。

図 ジュネーブショーの会場風景
図 ジュネーブショーの会場風景
一般公開日の初日。多くの人が集まった。

 PHEVを出展したメーカーの中で、最も力を注いでいたのが日産自動車である。パラレル方式とシリーズ方式の車両をそれぞれ公開した。一方で欧州メーカーを中心とした各社は、主力のハッチバックを全面改良した。注目を集めたのがドイツDaimler社の「A-class」とAudi社の「A3」。A-classは先代からコンセプトをがらりと変え、A3は新しいモジュール開発の仕組みを取り入れた。韓国メーカーにも勢いがあった。Hyundai Motor社がPHEVや新型ハッチバック、さらに最新のエンジンラインアップを出展。各国の技術者が同社の車両の周りを取り囲む光景が見られた。
 日産自動車が見せた2種類のPHEVのうち、一つが「エクストレイル」などと同じCプラットフォームのSUV「Hi-Cross Concept」である。同社は2015年にPHEVを発売する戦略を2011年に示しており、それに基づいた車両とみられる。
 排気量2.0Lでスーパーチャージャ付きのガソリンエンジンとモータ1個、無段変速機(CVT)を組み合わせたパラレル方式。2009年に発売したFRセダン「フーガハイブリッド」に採用した1モータ2クラッチ式のFF車版である。エンジンとモータをクラッチで切り離せる。Liイオン2次電池を採用し、EV走行距離は50kmほど。車速が120km/hまでEV走行ができるようにする考えだ。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載