ドイツBMW社の日本法人ビー・エム・ダブリューは、ディーゼルエンジンで駆動するSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)「X5 xDrive35d Blue Performance」を発売し、2012年2月下旬から納車を始めた。NOx(窒素酸化物)を分解するために尿素SCR(選択還元触媒)コンバータを採用してポスト新長期規制に適合させた。

 エンジンは「N57D30A」。従来から欧州市場で売っていた直列6気筒DOHC、排気量3.0Lの「N57D30U0」にSCRを加えたもの(図)。ボアピッチ、燃焼室形状などの基本寸法はN57D30U0そのもの。最大噴射圧1800barのピエゾインジェクタ、可変ジオメトリのターボチャージャといった装備も同じだ。
 N57D30U0は既にDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)を装備して欧州の「Euro5」を満たしていた。今回、SCRを加えてNOxを減らし、クリーン化の水準を一段階高め、「Euro6」に対応させた。
 「Euro6」と日本の「ポスト新長期規制」は測定モードなどが違うのだが、X5 xDrive35d Blue Performanceは結果として欧州仕様のまま何も変えずにポスト新長期規制を満たすことができた。車両全体としても、英国など右ハンドル地域向けの車両そのまま。メータの文字板を変えるような微調整をしただけで、特別な日本仕様は作らない。生産も日本向け、欧州向けを同時に始める。日欧とも米サウスカロライナ州のスパータンバーグ工場から供給するので、納車開始もほぼ同時。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載
図 排気系
図 排気系
右がDPF、左が今回追加したSCRコンバータ。