マツダが2012年2月に発売した新型SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)「CX-5」は、同社の次世代技術「SKYACTIV」をガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、変速機、車体、シャシーのすべてで採用した最初の車種だ。「アテンザ」「アクセラ」「デミオ」に次ぐ第4の世界戦略車とすることを狙っており、世界市場での年間販売台数16万台を狙う。

 マツダにとってCX-5は、単なる新型車の発売という以上の意味を持つ。初めてSKYACTIVをフル搭載しただけでなく、マツダが進める「モノ造り革新」の成果を初めて盛り込んだクルマでもあるからだ。
 マツダのモノ作り革新は、今後5~10年先を予測して全商品を一括して企画し、開発・生産コンセプトを全車種で共通化して、ラインアップ全体でスケールメリットを得るというもの。開発効率が30%以上、設備投資効率もガソリンエンジン生産ラインでは60%以上高まるほか、製品コストも30%削減する。日本で生産するCX-5の1台当たりの利益は上級SUVの「CX-7」よりも15万円程度増え、1ドル=77円、1ユーロ=100円の為替水準でも、すべての仕向け地に輸出して採算がとれるという。
 CX-5にはガソリンエンジン仕様とディーゼルエンジン仕様があるが、このうち注目されるのは、排気量2.2Lの新世代ディーゼル「SKYACTIV-D2.2」(図)を初めて搭載した仕様だ。マツダはCX-5の国内における年間販売目標台数1万2000台のうち、半分以上をディーゼルとする強気の計画を示している。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載
図 新世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D2.2」
図 新世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D2.2」
世界一低い圧縮比14.0を実現し、後処理装置なしでNOxを低減しつつ出力と燃費を高めた。