トヨタ自動車は2012年1月、初めて全面改良した「レクサスGS」を発表した。販売価格は510万円からで、目標販売台数は世界でおよそ月5000台。そのうち半分以上を北米で売る計画だ。日本は月600台になる。3種類のモデルがあり、技術面で大きく進化させたのがハイブリッド車の「GS450h」である。燃費を4割高めながら出力を維持した。販売面でこだわったのが排気量2.5Lの「GS250」。中国市場を強く意識した。愛知県の田原工場で生産する。

 2011年のレクサスブランドの車種全体の販売台数は、東日本大震災やタイの洪水の影響で約40万台にとどまった。だがトヨタ常務役員の大原一夫氏は「2012年は約50万台にする」と3割近く増やす目標を掲げ、「その達成に向けて勢いを付けるのが新しいGSだ」と意気込む。
 そのGSの開発を率いたチーフエンジニアの金森善彦氏が、特に強調したのがデザインである。金森氏は「先代のGSは、競合車と位置付けるドイツBMW社やDaimler社などのクルマと比べてデザインに特徴がなかった」と語り、新型ではその反省を生かしてフロントグリルに二つの台形を重ね合わせた「スピンドルグリル」と呼ぶ形状を採用した。これで「押し出しの強さ」(金森氏)を打ち出す。今後はこのデザインをレクサスブランドのほかの車両に展開し、「一目でレクサスのクルマと分かるようする」(同氏)考えだ。
 新型GSには3種類のモデルがあり、エンジンの排気量が3.5Lの「GS350」と同2.5Lの「GS250」、ハイブリッド車(HEV)の「GS450h」(表)。前者の2車種を2012年1月に、HEVを3月に発売する。すべてのモデルにV型6気筒のガソリンエンジンを載せる。
 このうち先代から新しく追加したモデルが排気量2.5Lのエンジン「4GRFSE」を搭載するGS250である。500万円台前半と安くして先進国で「30~40歳代の若い顧客の獲得」(金森氏)を狙うとともに、世界最大の市場である中国を重視して設定した。

以下、『日経Automotive Technology』2012年5月号に掲載
表 レクサスGSの主な諸元
表 レクサスGSの主な諸元
2輪駆動車で、簡素な装備のもの。