2012年のMWCで見えたのは、コモディティー化にあえぐ携帯電話機メーカーの姿だった。共通のソフトウエア・プラットフォームを採用し、部品調達力や実装技術の差もほとんど無いことから、携帯電話機メーカー間で差異化するのがさらに難しくなってきた。一方、半導体メーカーは低価格の製品が開発できるように、スマートフォンに必要な機能を盛り込んだ統合チップを投入し、生き残りを図る。

今後はミッドレンジ機以下の競争が激化

 「iPhone」に追い付き、追い越せ──。ソフトウエア・プラットフォームとして米Google社の「Android」を選択した携帯電話機メーカーは、機能面と性能面で先頭を走る米Apple社を追いかけてきた。

 モバイル関連の世界最大の展示会「Mobile World Congress 2012(MWC 2012)」(2012年2月27日~3月1日)で展示された各社のスマートフォンは、性能面でついにiPhoneを追い越した。今回、開催に合わせて発表された超ハイエンドのスマートフォンは、4コア(クアッドコア)のアプリケーション・プロセサが主流となり、ディスプレイは4.5~5型で1280×720画素のものを搭載するようになった。

 その一方で、各社の超ハイエンド・スマートフォンに明確な差は無い。携帯電話機メーカーは、これまで以上に独自性を発揮しづらい状況に陥っていることがいっそう明確になった。最先端の部材を各メーカーがほぼ同時に手に入れられるようになったためだ。

半導体も画一化を後押し

 今後の端末はさらに激しい画一化(コモディティー化)が進みそうだ。スマートフォン向けのアプリケーション・プロセサを開発する半導体メーカー各社は、次の競争を見据え、半導体の統合化を加速しているからである。

 米国の調査会社Strategy Analytics社の予測によれば、2012年に販売される全スマートフォンのうち、約7割が191~299米ドルで販売されるハイエンド端末と300米ドル以上の超ハイエンド(プレミアム)端末で占めるという。ところが2013年以降は190米ドル以下のスマートフォンの出荷量が拡大し、2014年には全出荷量の半分に達する。

『日経エレクトロニクス』2012年4月2日号より一部掲載

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