用途の拡大が進む

 東日本大震災の影響で2年ぶりの開催となった「電子情報通信学会 2012年総合大会」。2010年の前回大会で注目されたワイヤレス給電技術は、今回さらに大きな関心を集めた。発表件数は増加し、会場は立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

 前回の総合大会では、自動車への適用を目指した研究発表が多かったが、今回はそれ以外の用途を目指す動きが見られた。自動車や既に実用化が始まっているスマートフォンだけでなく、mW級の小電力から1万kWを超える大電力まで、応用検討が具体的に動き出した。

 mW級では例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や京都大学などが無線センサ・ネットワークへの適用を検討している。京都大学は、通信方式にZigBeeを用いる無線センサの駆動電源として、マイクロ波によるワイヤレス給電を採用するシステムを試作した。超大電力向けでは、宇宙太陽光発電所(solar power satellite/station:SPS)との組み合わせが、少しずつではあるが着実に進んでいることを示す発表があった。

『日経エレクトロニクス』2012年4月2日号より一部掲載

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