国内の半導体業界が、かつてない危機を迎えている。長引く円高に欧州の金融危機やタイの洪水が追い打ちをかけ、国内唯一のDRAMメーカーであるエルピーダメモリが、2012年2月に経営破綻した。SoCメーカーも売り上げが激減するなど苦境に立たされている。各社の窮状は電機メーカーの不振と無縁ではない。国内SoC産業の再生に向けた条件を探った。

大詰めを迎えたSoC業界再編

 「我々のところからDRAMの灯を消したくない。もう一度新しい形でDRAMの会社を立ち上げたい」──。

 2012年2月27日、国内唯一のDRAMメーカーで世界シェア3位のエルピーダメモリが、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、経営破綻した。同社 代表取締役社長 兼 CEOの坂本幸雄氏が掲げてきた「DRAMで世界一になる」という夢は、2002年の社長就任から10年にしてついえた。負債総額は4480億円と、製造業では過去最大規模だった。

 エルピーダが経営破綻に至ったのは、リーマン・ショック後に金融機関などから借り入れた1000億円規模の融資を、2012年4月の期日までに返済または借り換える見通しが立たなかったからだ。ここ1年間で「DRAM価格が1/3に下落し、歴史的な円高も続いている」(坂本氏)。その結果として、同社は2011年10~12月期まで5四半期連続で営業赤字となり、資金が底を突いた。

 同社は財務基盤を立て直そうと、2011年末ごろからDRAM業界4位の米Micron Technology社など複数の企業と提携交渉を進めた。2月27日までにこれらの企業から提携や支援に向けた前向きな回答を受け取ったが、「いつまでに契約を完了するといった具体的なコミットメント(約束)がなかった」ことで力尽きた。

『日経エレクトロニクス』2012年3月19日号より一部掲載

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