新興国を中心に販売されている売れ筋のスマートフォンを入手し、分解・調査した。内訳は、中国が7機種、インドが2機種、ブラジルが1機種、韓国が1機種である。多くの製品は、大手端末メーカーの製品と遜色のない完成度を持っていた。

 世界で市場が拡大するスマートフォン。端末メーカー各社は新興国市場の開拓に余念がない。果たして中国やインドでは、どのようなスマートフォンが販売されているのだろうか。

 そこで本誌では、調査会社のナビアンとフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズの協力を得て、新興地域を中心に販売されている売れ筋のスマートフォン11機種を入手し、分解・調査を行った。そこから見えてきたのは、従来の粗製乱造から脱し、洗練が進む新興国スマートフォンの実像だった。

高級品が売れる中国

 中国の製品は7機種。日本ではあまり名前を聞かない企業の製品もあるが、いずれもしっかりしたメーカーだという。ナビアン 取締役社長の安藤嘉泰氏は「中国のスマートフォンは日本では誤解されている」と指摘する。「中国の地場メーカーのスマートフォンは高性能・高機能なものが多く、100米ドル程度の製品はあまりない」(同氏)という。

 中国の携帯電話機といえば、行政の管理が及ばない“山寨機”のイメージがあるが、3G通信に対応した山寨機はない。3G端末を発売するには中国政府の認可が必要だからだ。3Gサービスの普及に伴って、山寨機は消滅に向かう見込みだ。

 7機種のうち3機種は、比較的低価格の普及機。部品原価(BOMコスト)を度外視した値付けの中国ZTE社「Racer」を除いて、200米ドル台で販売されている。

『日経エレクトロニクス』2012年3月5日号より一部掲載

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