新興国を中心に模倣品被害が拡大している状況を受け、新たな対抗策に踏み切る動きが出てきた。産業用制御機器の業界団体である日本電気制御機器工業会(NECA)は、模倣品を判別/早期発見するための技術の開発を進めており、これまでの法的な対応と組み合わせることで、模倣品のより効果的な排除を目指す。
弁解しても済まされない
NECAが2004年と2011年に会員企業を対象に行った調査によれば、産業用制御機器の模倣品被害は拡大している(図)。中でも模倣品被害の多い中国では、工場の自動化ニーズの高まりに伴い、産業用制御機器の市場規模も急速に伸びる見込みだ。当然ながら、模倣品業者にとってもうまみの大きい市場になる。
NECAが模倣品対応を強化する背景には、プラントや工場の設備に組み込まれる制御機器の模倣品は「人の命にかかわる恐れがある」(NECA制御安全委員会委員、山武安全審査部技術開発リーダーの天沼光太郎氏)という強い問題意識がある。実際、中国では新設の工場が稼働を開始してから数日後に設備の不具合が発生し、制御機器の模倣品の存在が発覚したケースがあった。
〔以下、日経ものづくり2012年3月号に掲載〕