重電シフト組と家電中心組で明暗

 7800億円の赤字──。パナソニックが2011年度第3四半期決算と共に発表した巨額の通期純損失予想は、エレクトロニクス業界に衝撃を与えた。主な原因は、薄型テレビ事業の構造改革費用と三洋電機の買収に伴うのれん代の減損だ。電機メーカーがこれほど巨額の赤字を出すのは、日立製作所が2008年度に7873億円の純損失を計上して以来である。

 パナソニックだけでなく、ソニーとシャープも通期純損益は大幅な赤字になる見通しだ。これら3社に共通するのは、テレビ事業への依存度が高いこと。日本での地上アナログ放送終了後のテレビ需要の急減と、世界的なテレビの販売不振のダブルパンチが業績を直撃した。

 一方、重電部門を持つ3社の傷は比較的浅い。東芝は、これまで黒字を確保してきたテレビ事業がついに赤字に転落したが、社会インフラ事業は堅調であり、全社的には通期の黒字を確保できる見通し。家電事業の割合がそれほど高くない三菱電機や、2012年1月にテレビの自社生産から撤退すると発表した日立製作所の業績は、他社に比べれば堅調だ。

『日経エレクトロニクス』2012年2月20日号より一部掲載

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