新車販売台数が徐々に回復を見せる米国市場。東日本大震災やタイの大洪水で打撃を受けた日本メーカーを横目にGM社やFord社、Chrysler社の米ビッグ3が良好な業績を取り戻しつつある。2012年1月9~22日に米国デトロイトで開催された「The North American International Auto Show(デトロイト・モーターショー)」では、燃費と情報表示系の両面で攻勢に転じた米国勢の動きが目を引いた。

元気を取り戻しつつある米国の自動車メーカー

 「2012年は1360万~1370万台になるだろう」──。

 米国での新車販売台数が緩やかに回復に向かっている。米国では、2008年秋に端を発した金融危機「リーマン・ショック」の影響で、新車販売台数が2009年に1000万台強まで落ち込んだ。だが、2010年に約1150万台、2011年に約1270万台と徐々に回復しつつあり、2012年には1300万台を超えそうだ。

 こうした中、リーマン・ショック後に米国政府から資本注入を受けていた米General Motors社(GM社)や米Chrysler社をはじめ、次世代車両の開発向けに低金利融資を受けていた米Ford Motor社といった米ビッグ3が元気を取り戻しつつある。実際、GM社は2010年比で約13%増、Ford社は約11%増、Chrysler社は約26%増と、3社ともに新車販売台数が2ケタ台で伸びている。

 これに対して、日本の大手自動車メーカーは日産自動車が約15%増と伸びたものの、トヨタ自動車とホンダは東日本大震災やタイの大洪水などの影響もあり、それぞれ約7%減と新車販売台数が落ち込んだ。

 その影響は、日本メーカーが得意としてきた中小型セダンの市場にも表れた。GM社やFord社が躍進する一方で、トヨタ自動車やホンダがシェアを落とした。具体的には、小型セダンではGM社の「Chevrolet Cruze」がトヨタ自動車の「Corolla」とホンダの「CIVIC」のシェアを、中型セダンではFord社の「Fusion」がトヨタ自動車の「Camry」とホンダの「Accord」のシェアをそれぞれ奪った。

 米ビッグ3は、さらに攻勢を強めようと2012年に中小型セダン市場での新型車の投入を計画している。競争の軸は、これまでのデザインに加えて、燃費と情報表示系HMI(human machine interface)だ。燃費については1ガロン当たりの走行距離を示す「mpg」の競争が米国で活発化している。HMIについては、タッチ・パネルで簡単に操作できるスマートフォンの普及が、自動車の操作系にも大きな影響を与え始めている。

『日経エレクトロニクス』2012年2月6日号より一部掲載

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