44年の歴史上、過去最高の15万3000人が来場した「2012 International CES」(米ラスベガスで2012年1月10~13日開催)は、デジタル家電の未来をはっきりと示す、節目の展示会になった。キーワードは「連携」だ。ネットの常時接続に対応したスマートフォンを中心に家庭内の機器が互いに連携し、これまでにない新たなサービスを提供する。携帯電話機から始まった「スマート」化のトレンドが、家庭内のあらゆる分野の機器に革新を迫っている。

モバイル技術が飲み込む

 モバイル関連の技術やサービスが、すべてのデジタル家電の開発環境を大きく変える。今回のCESは、この1年ほどで一層加速した動きを象徴する展示会だった。

 主役は、世界的な普及が急ピッチで進むスマートフォンやタブレット端末。これらの携帯端末での利用を前提に進化したLSIやソフトウエア基盤を、テレビなど別の分野の機器が取り込んで新たな応用分野を切り開く。あるいは、携帯端末を核にさまざまな機器を連携させ、新たなサービスを構築する。成長著しいモバイル関連技術が民生機器全体を飲み込んでいく様が、会場のあちらこちらに散らばっていた。

中身は「スマホ」のテレビ

 モバイル関連技術を取り込む動きが最も目立ったのは、「家電の王様」テレビである。それを象徴していたのが、中国Lenovo社が会期中に発表した液晶テレビ事業への参入だ。同社は2012年4月に中国で液晶テレビ「K91」を発売する。

 Lenovo社が公開した55型液晶テレビの試作機は、米Qualcomm社の統合型プロセサ「Snapdragon」シリーズのデュアル・コア品「APQ8060」を搭載する。ソフトウエア基盤は、米Google社が開発した「Android 4.0」である。いずれも、もともとは携帯端末を前提に開発された技術。外見はテレビだが、中身はほぼスマートフォンと同じだ。

『日経エレクトロニクス』2012年2月6日号より一部掲載

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