ダイハツ工業技術本部エグゼクティブチーフエンジニアの上田亨氏
JC08モードで30km/Lと、ガソリン車ではトップレベルの燃費を実現した軽乗用車「ミラ イース」の開発を指揮した。

 2011年9月、ダイハツ工業はJC08モードで30km/Lの燃費性能を実現した新型軽乗用車「ミラe:S(イース)」を発売した。e:Sという車名は、エコ(エコロジー+エコノミー)&スマートの頭文字からとっている。
 電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)に次ぐ「第3のエコカー」として、燃費性能が優れるだけでなく、軽自動車として誰でも手に入れやすい79万5000円からという価格にもこだわった。この結果として、2011年11~12月の月間販売台数は、月販目標である7000台の2倍にあたる約1万4000台となるなど売れ行きは好調だ。

ラリー仲間の引きでシャシー設計へ

 ダイハツは2009年10月に開催された第41回東京モーターショーに、今回発売したイースの基になるコンセプトカー「e:S」を出展した。このコンセプトカーから開発の責任者として陣頭指揮を執ってきたのが、同社技術本部エグゼクティブチーフエンジニアの上田亨である。
 同社に入社したいきさつを、上田はこう語り出した。
 「私は奈良出身なのですが、地元でクルマの会社に入りたいと思い、本社が大阪にあるダイハツ1社に絞って就職活動をしました。入社後は、希望通りシャシー設計に配属となり、やる気満々でした」

以下、『日経Automotive Technology』2012年3月号に掲載