日経Automotive Technologyと日経ビジネスは共同で「2011東京国際自動車会議」を2011年11月末に開催した(図)。東日本大震災、欧州の信用不安など世界情勢が大きく変化する中で、次の成長の可能性はどこにあるのかを議論した。

 最初に登壇したマツダ副社長の金井誠太氏は、同社が導入を進めている次世代技術「SKYACTIV」について講演した。技術の概要について解説した後、設計・生産技術の革新にまで踏み込んで説明した。設計でポイントになったのは、異なるクラスの車種でも可能な限り共通の設計とする「コモンアーキテクチャー」を導入したこと。
 例えば今回、2.0Lと1.3Lという排気量の異なるエンジンをほぼ同時に開発した。従来は排気量が違えば、まったく別個のエンジンとして開発するのが常識だったが、今回は「理想の燃焼の原理は一つ」「排気量が違ってもポイントとなる物理量さえ同じにすれば、同じノウハウが使えるはず」という仮定でアプローチし、考えた通りの結果を得ることができたという。リアサスペンションでも、従来は3車種でばらばらだった構造を1種類にした。
 生産ラインも共通化・混流化を徹底した。従来、クロスメンバの生産ラインは複雑な、しかも車種専用のラインだった。新しいラインはすっきりしているだけでなく、混流が可能なラインとした。従来は車種ごとの専用ライン7本で稼働率もまちまちだったが、新ラインは5本の混流ラインで、ほぼ100%の稼働率となる。
 こうした開発・生産の効率化もさることながら、今回のものづくり革新の最大のメリットは「従来のどんな教育プログラムにも増して、面白いように人が育つ」(金井氏)ことだったという。

以下、『日経Automotive Technology』2012年3月号に掲載
図 会場風景
トヨタ自動車常務役員友山茂樹氏の講演。