ホンダは2011年12月、これから採用していく次世代のパワートレーンを公開した。2モータ式のハイブリッドシステムや5種類のガソリンエンジン、3種類の無段変速機(CVT)などがある。3年以内に各カテゴリーの燃費性能をトップにする考えだ。

 2モータ式のハイブリッドシステムはFF車用で、2012年内にプラグインハイブリッド車(PHEV)、2013年内にハイブリッド車(HEV)に載せる計画である(図)。ホンダは「インサイト」などの小~中型車向けに1モータ式を採用しているが、2モータ式は中~大型車に使う。
 構成は、ガソリンエンジンと減速ギアを介してつながる最大出力100kWの発電機(モータ)、エンジンとクラッチを介してつながる最大出力120kWで最大トルクが300N・mのモータ、それらと電力をやり取りするLiイオン2次電池である。変速機は使わない。内製する発電機とモータは「似た形状」(ホンダ)で、ともに分布巻きにした。現行の1モータ式は集中巻きである。
 特徴は、多くの場面でモータを駆動力の主役に据え、エンジンをほとんど発電用に使う点である。トヨタ自動車の「THS」がエンジンとモータの駆動力配分を遊星歯車機構で常に変える仕組みなのと比べると、モータと電池は大きくなる。コスト面では対抗しにくいが、遊星歯車機構がないので機械損失が少なく燃費では上回るとしている。

以下、『日経Automotive Technology』2012年3月号に掲載
図 このハイブリッドシステムでトヨタに挑む
遊星歯車機構を使わず、クラッチでモータと発電機を使い分ける。