2011年12月に米国ワシントンDCで開催された「IEDM 2011」では、20nm世代の論理LSI技術や1Xnm世代のNANDフラッシュ・メモリ技術が登場した他、3次元化や大面積化といった新機軸にも注目が集まった。新材料を用いたデバイス技術の発表も活況を呈した。

 「半導体では長年、わずか数種類の材料と構造を使い続けてきた。ここに来て、多様な材料と構造を融合させて電子機器の進化につなげる時代に移行しつつある。ホモジニアスの時代が終わり、ヘテロジニアスの時代が始まる」──。

 半導体製造技術に関する国際会議「2011 IEEE International Electron Devices Meeting(IEDM 2011)」の基調講演に登壇した米Intel社 Senior FellowのMark Bohr氏はこのように語り、1000人を超える聴講者に半導体技術の新時代の到来を強く印象付けた。

 “ヘテロジニアス(異質性)の時代”というBohr氏の言葉には、大きく二つの意味がある。第1に、論理LSIやメモリの微細化の手段として、Si以外の新材料や立体トランジスタなどの新構造を採り入れる必要が出てきたこと。第2に、3次元化など、微細化とは別の方向を目指す技術が重要性を増してきたことである。

 従来、電子機器の高性能化や低コスト化を牽引してきたのは、基本的にはSiベースの半導体の加工寸法を縮小するという手段だった。論理LSIやメモリの技術世代がいずれも2Xnm世代を迎えた今、この先に待ち受ける技術課題を克服するために、これまでは異端視され敬遠されてきた新材料や新構造を、大胆に採り入れる時代が到来する。半導体の使い手である機器メーカーにとっては、注視すべき技術候補がそれだけ増える。

『日経エレクトロニクス』2012年1月9日号より一部掲載

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