2011年11月30日~12月11日に東京ビッグサイトで開催された「第42回 東京モーターショー 2011」。世界初披露の53車種を含む約400車種が展示され、会期中の入場者数は84万人を超えた。プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池車といった次世代の電動車両がずらりと並び、クルマがスマートフォンや家などと連携する未来の自動車社会を垣間見ることができた。

多様化する電動車両

 「未来のクルマは、電気自動車(EV)か、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)か、といった議論にはならない。おそらく、選択肢は一つではない。いろいろなクルマがそれぞれの得意分野で活躍することになるだろう」──。

 トヨタ自動車 代表取締役社長の豊田章男氏は、「第42回 東京モーターショー 2011」(2011年11月30日~12月11日、東京ビッグサイト)の初日に開催されたプレス・ブリーフィングでこう語った。この発言に象徴されるように、今回の東京モーターショーでは、クルマが多様化していく未来が鮮明になった。

 かつて、クルマといえばガソリン車だった。それが現在では、ガソリン車に加えて、国内ではハイブリッド車(HEV)の販売比率が10%を超えた。2011年度にはEVである三菱自動車の「i-MiEV」と日産自動車の「リーフ」がそれぞれ年間2万台を超える販売台数を達成しそうだ。PHEVについては、トヨタ自動車やホンダ、三菱自動車が2012年から販売を本格化させる。そして、2015年ごろには、燃料電池車(FCV)の市場導入が現実味を帯びてきている。

 さらに、日産自動車 社長兼CEOのCarlos Ghosn氏は今回のモーターショーで、「自動車メーカーがクルマ作りのみに集中する時代は終わりを告げた」と述べた。同氏はクルマを単なる乗り物ではなく、「スマートハウスやスマートグリッド、スマートコミュニティーなどを支え、あらゆる生活とつながる有効的な移動手段」と位置付けた。クルマの電動化が進むことで、クルマをインターネットでつなぎ、スマートフォンや家、地域などと連携させる動きが進み始めようとしている。

HEVは40km/Lへ

 自動車メーカーが電動化を進める背景には、クルマのCO2排出量の低減やガソリンの枯渇など喫緊の課題がある。まずはHEVの投入によって燃費の向上に注力しているが、最近では「第3のエコカー」と呼ばれる、次世代エンジンを搭載したガソリン車の台頭が著しい。

『日経エレクトロニクス』2011年12月26日号より一部掲載

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