自らが動かないと何も始まらない
クルマのように膨大な数の部品から組み立てられる製品は、自動車メーカーだけで造れるものではない。多数のサプライヤーの協力があって、初めてクルマは出来上がるのだ。これは、部品の供給という製造面だけではなく開発でも同じである。自動車メーカーとサプライヤーが協力しながら新しい技術や部品・ユニットを開発していく。
しかし、全く新しい技術や部品、ユニットの開発となると、事情はかなり特殊となる。通常の開発、例えば自動変速機(AT)を4速から5速にする開発は、具体的な車種への搭載を目指したものだ。変速機メーカーにとっては、搭載する車種がヒットするかどうかという不確定要素はあるが、「少なくとも搭載はされる計画」なのでリスクは小さい。
ATとは構造が全く異なる無段変速機(CVT)の実用化も、技術的なハードルは高いがリスクは限定的だった。CVTは自動変速機という範囲内の技術であり、燃費向上という明確な付加価値があるので、その付加価値に見合うコストを実現できれば普及の道筋は見えてくる。
〔以下、日経ものづくり2012年1月号に掲載〕
中央大学 大学院 戦略経営研究科 客員教授