製造業務への労働者派遣(製造業派遣)が、禁止されない可能性が浮上してきた。2011年11月中旬、民主党が今国会(第179回臨時会)で継続審議中だった労働者派遣法改正案について、自民・公明両党と「製造業派遣の禁止を改正案に盛り込まない」方向で合意、修正したのだ。結局、修正した同法案の成立はかなわず、継続審議となった。製造業派遣問題はなおも揺れている。

 この新たな動きについて、複数のメーカーの工場関係者に意見を聞いた。すると、「どちらにしてもウチには関係がない」(自動車部品メーカーの工場管理者)、「(国会での議論は)遠い所で勝手に話が進んでいる印象」(大手電機メーカーの工場関係者)など、どこか冷めた答えが返ってきた。工場関係者がこうした反応を示すのは、製造業派遣が解禁された2004年以来、目まぐるしく変化する状況に散々振り回されてきた過去があるからだ(図)。

〔以下、日経ものづくり2012年1月号に掲載〕

図●人材にまつわる情勢の移り変わりと製造現場の対応