欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 イタリア人は小さなクルマを愛している。そして「Fiat500」のような小さな宝石を生み出すことに長けている。従ってドイツVolkswagen社が新しい小型車「up!」の試乗会の舞台として、交通事情の悪い、路面の状態の荒れた、路地が多いイタリアの首都を選んだのは、勇気ある決定といえる。
 up!は2007年に、水平対向エンジンをリアに搭載する後輪駆動車として登場した。しかしそれから4年の間に、より一般的なフロントエンジンの前輪駆動車へと変化した。それでもなお、up!には新型3気筒・1.0Lエンジンを含む、興味深い技術がある。
 価格は、ここ英国でもっとも安いタイプが約96万8000円だ。このほか、2013年に電気自動車仕様が追加される見込みのほか、よりスポーティーな仕様も近い将来追加されるだろう。変速機は5速手動(5MT)が標準だが、来年5ドアモデルと同時に自動MT仕様が追加されそうだ。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載