スマートフォン向けのナビアプリでは、通信が途切れると使いにくいという課題がある。日立オートモティブシステムズはこの課題を解決した上で、ユーザーが望む機能を自由に追加しやすいAndroid端末用ミドルウエアを開発した。

 スマートフォンやタブレット端末のナビアプリケーションが、カー・ナビゲーション・システムとしての存在感を示しつつある。データセンターに地図データなどを置き、通信でデータを端末側にダウンロードして使う。端末側でほぼすべての機能を実行する従来のカーナビと比べて安く使えるのが特徴である。しかし、使い勝手の面で従来のカーナビを凌駕しているとは言い難い。通信には遅延があるし、途切れることもある。しかも車両の移動速度は速く、その速度に合わせるように通信を使って端末のデータを更新するのは現状では難しい。
 また、多くのナビアプリは米Google社の「Android」といった自由にアプリを開発しやすいプラットフォームを利用するが、ソフトウエア開発に精通しないユーザーが、自ら望む機能を搭載したナビアプリを開発することは難しい。例えば運送業者が、荷物の配達区域内で自社のトラックの通行を禁止したい道路情報をナビアプリに反映したいと考えても、そのためにはソフトウエア開発事業者などに開発を委託するほかなく、多額の資金が必要になる。
 そこで日立オートモティブシステムズ(日立AS)が開発したのが、Android端末用のナビアプリを開発しやすいミドルウエア「スマートナビアプリ(NS-100A)」である(図)。「Android 2.2」に準拠し、経路案内機能やスケジュール管理機能などに向けた172 種類と多くのAPI(Application Program Interface)を用意した。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
図 必要に応じて通信を使う
右側が日立ASが開発したカーナビ用ミドルウエアの考え方。通信は途切れやすいことを前提に、端末だけでも必要十分な機能を使えるようにする。