米国はITS(高度道路交通システム)で、車車間通信を用いたシステムの実用化に向けて大規模な実証実験を始める。DOT(米運輸省)が主導して8社の自動車メーカーが参加する「Safety Pilot」プログラムでは、2012年からミシガン州で約3000台を使った実験をする。米国のITSの最新動向を「第18回ITS世界会議」(図)で取材した。

 ITSの歴史において、これまで日本は常に世界をリードしてきた。1970年代からITS関連技術の研究開発を進め、1990年代にはETC(自動料金収受システム)、VICS(道路交通情報通信システム)を世界に先駆けて本格導入した。ただ、これらは路車間通信を基本とするシステムで、車車間通信については、まだ本格的に進んでいない。ETCに使われる狭域通信のDSRC(Dedicated Short Range Communications)車載器を応用した5.8GHz帯を使ったシステムと、2012年7月から使用が可能となる700MHz帯を使ったシステムを検討中である。
 一方、米国はやや事情が異なる。道路インフラに関しては自治体の主導権が強く、全米で統一したシステムを導入しにくい。このため、狭域通信のDSRC車載器を使って、5.9GHz帯の周波数で車車間通信をするシステムの実用化を狙う。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
図 米フロリダで開催されたITS世界会議
DOT(米運輸省)の「Safety Pilot」プログラムに参加する日米欧の自動車メーカー8社の関係者が集まった。