信用不安で欧州が揺れる最中に開催された今回の「第63回フランクフルトモーターショー(Internationale Automobil-Ausstellung)」。ドイツBMW社や同Audi社のブースは周回路を設け、コンセプトカーや最新型車が走り回る賑やかさで、経済危機を一切感じさなかった(図)。一方で、東日本大震災の後遺症が完全に癒えない日本メーカーの出展は全体に存在感が低かった。

図 ドイツBMW社のプレスブリーフィング
同社は会場内に周回路を設け、ここを新型車やコンセプト車が走り回る演出をした。

 建物全体を一つのブランドで占めるような広大なブース。欧州が信用不安に沈む中でも、ドイツ自動車メーカー各社の業績は順調で、そうした自信が会場にも反映されているように見えた。今回のショーの目玉は、各社が出展した小型車。特にドイツVolkswagen社の新型小型車「up!」は同社のこれからの新興国戦略を占う上でも重要なモデルだ。また、小排気量エンジンとターボチャージャを組み合わせ、ハイブリッド車並みの燃費を実現したモデルを各社が出展したほか、2人乗りの小型電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)の出展も目立った。
 今回のショーで目立ったのが各社の小型戦略車だ。欧州メーカーではVolkswagen社、ドイツDaimler社、BMW社、イタリアFiat社の4社が披露した。中でも注目を集めたのが先ほども触れたVolkswagen社のup!。「Polo」よりも小さい、新たな最小モデルで、エンジンは排気量1.0Lの直列3気筒エンジン。
 EV仕様も2013年に発売する予定だ。今回のショーでは、オープンモデルやSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)モデルも公開した。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載