フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、「ゴルフ」のオープンモデル「ゴルフカブリオレ」を10月に発売した。新型はオープンモデルとして4世代目で、3世代目が2002年に販売を終了して以来、国内では9年ぶりの登場となる。

 外観上で目に付くのは、過去3モデルでいずれも採用していた転倒時に乗員の負傷を防ぐ固定式のロールバーを廃して、屋根を開けたときの開放感を高めたことだ。ドイツVolkswagen社では、電動開閉式の屋根を初めて採用した「ニュービートル」から、万が一の際に後席の背もたれ後ろからバーが上方に伸びる保護システムを開発。今回は同システムをより小型化したものを搭載する。これによって、固定式のロールバーをなくすことができた。
 バーが上方に伸びる保護システムは、電動開閉式のハードトップを持つ「Eos」でも採用していたが、それをさらに改良し、小型化した(図)。同システムは、背もたれの後ろに、ばねで飛び出すバーを収納してあり、加速度センサが横加速度およびロール角を検知し、転倒すると判断した場合、バーを瞬時に伸ばすもの。
 普段はばねが縮まった状態でバーが収納されているが、ソレノイドによってこのロックを外すことで、危険の検出から0.25秒以内にバーが飛び出す。バーは伸びきるとラッチによって固定されるので、車両が転倒した場合に乗員の頭部を守る。
 改良では、バーの幅、そのガイドとなるユニットの幅をいずれも細くした。これによって、シート後方でシステムが占める面積を狭くでき、後部シートを倒す機能や、シートを倒して中央部に大きな開口部を設けることを実現できた。開口部の大きさは幅526×高さ381mmである。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
図 後席の背後からバーが上方に伸びる
バーの幅、そのガイドとなるユニットの幅をいずれも細くすることで、ユニットが占める面積を削減。シートを倒して大きな開口部を持つトランクスルー機能を実現した。