2011年10月に開催されたエレクトロニクス関連の展示会「CEATEC JAPAN2011」では、各社が電気自動車(EV)の利便性や効率を高める技術を出展した。ワイヤレス給電システムやヒートポンプ式の冷暖房システム、大電力に対応したSi C(炭化ケイ素)パワーモジュールなどが注目を集めた。

 パイオニアは、EV向けのワイヤレス給電システムを出展した〔図(a)〕。送電コイルのある送電器にコンバータやインバータを内蔵することで、2010年に発表した従来品と比べて設置面積を大幅に減らした。従来品は、コンバータやインバータを別置きの充電スタンドに搭載していた。
 送電器の外形寸法は1150×800×80mm。コイルにはCu(銅)の巻線ではなく、プリント基板に配線した基板コイルを使う。これでアンテナ部を薄くできて、材料コストを減らせる。プリント基板の配線パターンについては、「従来品から変更した」(パイオニア)という。
 コイルの厚さは30mmで、定格出力は3kW。電源や整流回路などを含めた総合効率は、送電コイルと車両に搭載する受電コイルが100mm離れた状態で85%以上を達成した。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
図 EV向けワイヤレス給電技術
(a)はパイオニアの送電器。送電コイルに加えて電力変換器などを内蔵する。(b)は田淵電機のAl製の受電コイル。