日産自動車は報道関係者向けに「先進技術説明会」を開催し、新開発のハイブリッドシステムやCVT(無段変速機)などのパワートレーン技術、既存のカメラやレーダを有効活用して実現した安全技術などを公開した。

 パワートレーン関連では新開発のハイブリッドシステムやCVTに加え、小型化した燃料電池、電気自動車(EV)の非接触充電技術などを公開した。
 このうち新開発のCVTは排気量2.0~3.5Lエンジン向け(図)。変速比幅を2.0~2.5L用で従来の6.0から7.0に拡大したほか、摩擦損失を約40%低減することで、現行CVTと比較して燃費を約10%向上できるとしている。2012年から北米で発売する車種を皮切りに、グローバルに投入する。
 2.0~2.5L用新型CVTは、軸径を小さくしたプーリと、形状を変更した新開発のベルトを採用することで、軸間距離を大きく変えることなく、変速比幅を拡大した。3.5L用でも変速比幅を従来の5.4から6.3に拡大している。3.5Lエンジン用ではトルク容量を増やすため、動力伝達に同社としては初めてチェーンを採用した。
 ハイブリッドシステムはFF(前部エンジン・前輪駆動)車向けのパラレル型で、「フーガハイブリッド」に採用した1モータ2クラッチ式を基本的に踏襲している。FF車向けで工夫したのは、エンジンと変速機の間の従来はトルクコンバータがあった部分に、モータとクラッチを配置すること。これによって、軸方向の寸法が長くなるのを抑え、「ムラーノ」など既存のDセグメント車のエンジンルームに収めることを可能にした。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
図 排気量2.0~3.5Lエンジン用の新世代CVT(無段変速機)
変速比幅を2.0~2.5L用で従来の6.0から7.0に拡大した。