2011年10月初旬からタイを襲った大規模洪水では、ホンダの4輪車工場をはじめ、日系部品メーカーの工場が冠水し、被害は広範囲に及んだ。ホンダの復旧は2012年春になると見られるが、11月14日時点でホンダ以外の一部工場は生産を再開し始めた。

 タイにはトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、三菱自動車、いすゞ自動車、日野自動車など多くの日系自動車メーカーが進出している。このうち、最も被害が大きいのが、バンコクの北部に進出し、唯一完成車工場が冠水したホンダである。
 アユタヤ県Rojana工業団地のHondaAutomobile(Thailand)社は、年間生産能力24万台の工場が冠水した。10月4日から生産を止めており、10月末までに減産ロスは2万1000台に達した。11月7日に排水作業を開始したものの、操業再開は2012年春と見込んでおり、長期間生産を停止せざるを得ない。同団地の部品メーカーも操業再開は2012年4~5月ごろの見込みだ。一方、バンコク都Latkrabang工業団地にある2輪車、汎用製品のThai Honda Manufacturing社の工場は11月14日から一部モデルで生産を再開した。
 同国製の部品は他の地域でも使われており、ホンダはマレーシア(年間生産能力4万台)で10月25日から4輪車の生産を停止した。また、米国(同118万台)、カナダ(同39万台)、英国(同25万台)、インドネシア(同5万台)、台湾(同3万台)でも減産中だ。国内では、鈴鹿製作所(同53万台)と埼玉製作所(同53万台)で、11月7日から生産量を5割程度に調整している。影響を受けた部品の一例は「フリード」のアルミホイールだ。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載