ハイブリッド車(HEV)/電気自動車(EV)の駆動用モータに使う回転角センサは、多摩川精機のレゾルバがほぼ独占している。トヨタ自動車と二人三脚で改良を積み重ね、優れた耐環境性と安いコストを両立する。しかし最近、多摩川精機に挑むメーカーが出てきた。日本航空電子工業は、生産ラインで扱いやすいレゾルバを開発。旭化成エレクトロニクスやNTNは、ホール素子を使ってレゾルバより安い回転角センサを提案する。

 ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の駆動用モータの制御に欠かせない回転角センサ(表)。自動車向けにおいて、その世界シェアが90%を大きく超えるとされるのが多摩川精機だ。同社はレゾルバと呼ばれる磁気式の回転角センサを手掛ける。トヨタ自動車のHEV向けのシェアは100%。ホンダや日産自動車などにも幅広く提供する。
 ところが最近、多摩川精機の独壇場ともいえる状況に変化の兆しが見えてきた。レゾルバで対抗製品を発売するメーカーが出てきたのだ。それが日本航空電子工業。同社の製品は、ホンダが2011年前半に北米で発売したHEV「Civic Hybrid」に採用された。先代モデルのレゾルバは多摩川精機製だったため、牙城の一角を切り崩した。
 さらに、まだ車両への搭載には至っていないが、旭化成エレクトロニクスやNTNがホール素子を使ってレゾルバとは異なる仕組みの回転角センサを提案する。HEV/EV市場の今後の順調な拡大を見込み、にわかに競争が激しくなってきた。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載
表 HEV/EVの駆動用モータに使える主な回転角センサ
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