64ビットと32ビット、二つの実行モードを備える

 スマートフォンやタブレット端末向けCPUコアの覇者である英ARM社が、ついに64ビット・アーキテクチャに進出する。64ビット処理向けのアーキテクチャ「ARMv8」である。ARM社が近年、注力しつつあるサーバー分野や、ハイエンドのスマートフォン、タブレット端末などでの利用に向ける。同社 共同創業者でPresidentのTudor Brown氏は「半導体製造技術の微細化の進展を考えれば、64ビット・アーキテクチャへの移行は必然。市場からの要求を考えれば、今回の発表はむしろ遅すぎたくらいだ」と語る。

 ARM社と同じくCPUのIPコアを手掛ける米MIPS Technologies社のMIPSアーキテクチャは、1990年代初頭から64ビット・アーキテクチャを備えていた。これに対しARM社は低消費電力化を優先し、汎用レジスタの幅についてはこれまで32ビットのままだった。

 ARMv8対応のOSやアプリケーションは各パートナー企業が既に開発に着手しており、2012年以降に登場予定である。同アーキテクチャの詳細な技術仕様についてもこの時期に公開する。採用した機器が実際に市場に登場するのは、2014年以降になりそうだ。

『日経エレクトロニクス』2011年11月28日号より一部掲載

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