「トライレス」実現への道筋
前回(2011年11月号)では、金型設計・製作におけるデザインインの有効性を示した。金型の使い手である製品設計部門が詳細な金型仕様書や品質の高い3次元データを作成し、それに基づいて金型の造り手(金型メーカー)が工数や費用の見積もりを迅速かつ正確に行うことで、金型設計・製作の効率を高められるというものだ。
デザインインを実現する上では、金型構造の設計が重要なカギとなる。そこで今回は、金型構造の設計手順を詳しく説明していくとともに、一連のプロセスをさらに効率化する際の課題と解決策を提示する。
スペースを事前に確保
金型の構造部の設計では、初めに金型仕様書に基づいて成形品を配置する(図1)。後でランナーやアンダーカット構造を加えるので、この段階でスペースを確保しておく。
次に、実際に工場で使用する成形機の仕様に合わせて、ユニット部品(CADのデータ群)の配置/編集や部品属性の付加などを行う(図2)。その際に考慮すべき点は、金型の側面に付く部品と成形機の干渉と、成形品の取り出し方式(アタッチメントを用いるのか、自動落下させるのか)である。
〔以下、日経ものづくり2011年12月号に掲載〕
九州工業大学 先端金型センター長