ステップアップは、技術者や管理者が基礎力を養ったり新たな視点を導入したりするのに役立つコラムです。2012年3月号までは「渋滞学・西成教授の数学で闘え」をお届けします。同コラムでは、技術の現場で発生する課題を、技術者が自ら数学を用いて解決する方法を学べます。

 皆さんはお気付きでしょうか。このページの左上にあるコラムタイトルをよ~く見ると、「シーズン2」と書いてあるのを!(笑)このコラムでは、ものづくりの現場でバンバン使える数学をご紹介しています。2010年4月号から始まったシーズン1では、解析の分野から「微分方程式」や「フーリエ変換」を取り上げました。で、2011年6月号から始まったシーズン2では、幾何の分野から「曲率」、代数の分野から「回転」を取り上げて、次は再び解析の分野から、伝家の宝刀ともいえる強力な武器を2つご紹介しようと思います。その1つが…「テイラー展開」です。

「かっ、体が拒絶反応を示すっ」
(生徒の1人が思わず声を上げると、一同、爆笑)

 いえいえ、とんでもない。今回の授業を受けた後は、拒絶どころか頬擦りしたくなっちゃうはずです。
(一同が疑いの目を向ける)

 本当です。難しそうなことを分かりやすく説明するのが、このコラムの醍醐味。今回はテイラー展開、そして次回は「安定性」について解説します。この2つをうまく組み合わせると、商品開発が面白いようにできますよ。では早速、ワクワクのテイラー展開から学んでいきましょう。

〔以下、日経ものづくり2011年12月号に掲載〕

西成活裕(にしなり・かつひろ)
東京大学 先端科学技術研究センター 教授
東京大学先端科学技術研究センター教授。1967年東京都生まれ。1995年に東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程を修了後、山形大学工学部機械システム工学科、龍谷大学理工学部数理情報学科、独University of Cologneの理論物理学研究所を経て、2005年に東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻に移り、2009年から現職。著書に『渋滞学』『無駄学』(共に新潮選書)など。