2011年10月初旬からタイを襲っている洪水被害は、日本の製造業に深刻な影響をもたらしている。バンコクの北に位置するアユタヤ県やパトムタニ県にある7つの工業団地は、同年11月10日現在も深さ1~2mの水に浸かっている。これらの工業団地には、ホンダや東芝などの日系メーカーが多く入居している。あふれる水は甚大な影響を与えながら南へと拡大を続け、首都バンコクの中心部にも迫る勢いだ。

 今もなお続くこの災害から、日本のメーカーが学ぶべきことは何か。それを探るため、製造業に携わる人を対象に、勤務先メーカーがタイの洪水被害から受けている影響を聞いた。そこで浮かび上がったのは、多くの日本のメーカーが、リスクをほとんど想定していなかったということだ。

大事な部品調達先

 それをひも解く前に、洪水で日本のメーカーが受けている影響の中身を見ていこう。まずはストレートに「あなたの会社はタイの洪水被害による影響を受けているか」を聞いた(Q1)。「受けている」と答えた割合は75.7%で、「受けていない」と答えた24.3%を大きく上回った。つまり、4人に3人の勤務先が、タイという異国で発生した災害の影響を何らかの形で受けていることになる。それほどまでにタイは、日本のメーカーになくてはならない存在となっているわけだ。

〔以下、日経ものづくり2011年12月号に掲載〕

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