生産現場で日々発生する「困った」を解決するからくりには、現場の知恵と工夫が詰まっている。1993年から、日本プラントメンテナンス協会の主催で開催されている展示会「からくり改善くふう展」には、メーカーの生産現場で自作された自慢のからくりが出そろう。2011年度も10月初旬に名古屋市で開催され、約40のメーカーや団体が参加、184のからくりが出品された。

 その会場で今年、多く見受けられたのが「熟練工に頼らずとも誰でも簡単に作業できるように(誰でも化)するからくり」だ。そんなからくりの中から代表的な事例4つを紹介する。

File1:熟練工に聞き込み調査

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 組立工程で最もネックになりやすいのが、熟練工の勘とコツを要する「難作業」。アイシン・エィ・ダブリュ(本社愛知県安城市)が出品した「溝合わせ自動組立機」は、その勘とコツを機械の動きに置き換えたものだ。

 溝合わせ作業は、多板クラッチ部品の組立工程の中に組み込まれている。取り扱うのは、上の図の部品1と部品2だ。両方とも基本は円筒形をしているが、断面は部品1が山の字形、部品2はその山のへこんだ部分にピタッとはまるような凹の字形をしている。

〔以下、日経ものづくり2011年12月号に掲載〕