FPD市場の牽引役がテレビからスマートフォン/タブレット端末になりつつある現在、これらの機器への搭載に向けた中小型液晶パネルの高精細化競争が激しさを増している。2011年10月26~28日に開催された「FPD International 2011」(FPDI 2011)では、日韓台のパネル・メーカー各社がアピール合戦を繰り広げた。

 最も注目を集めたのは、東芝モバイルディスプレイ(TMD)が披露した6.1型で2560×1600画素の液晶パネルである。精細度が498ppiと高く、写真画質とほぼ同等の映像を表示できるとする。高精細化が進む現行のスマートフォンは330ppi前後の液晶パネルが搭載されているため、開発品の精細度は約1.5倍もある。「ユーザーの要望次第だが、2012年の量産を目指す」(同社)考えだ。

 TMDの開発品は、駆動素子に低温多結晶Si(LTPS)TFTを使って、高精細化を実現した。ただし、開発品のパネル開口率や消費電力の値は公表していない。いずれの値も、「同じ画面寸法で精細度が330ppi前後の液晶パネルより劣る」(同社)との説明にとどまる。パネル開口率を高めるため、色再現範囲をNTSC規格比で61%に抑えたという。

『日経エレクトロニクス』2011年11月14日号より一部掲載

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