需要と供給の差は5000万台

 「これから始まる年末商戦への影響は避けられない。コンパクト・カメラの年間販売台数目標を100万台下方修正する」(キヤノン)。「部品代替や生産休止の可能性を踏まえると、生産規模ベースで数百億円の影響があるかもしれない」(シャープ)。「部材不足のために、タイ以外の地域でも一部で生産調整を実施している」(ソニー)。「代替生産できるフレキシブル基板はごく一部に限られるため、顧客には他社からの調達も呼びかけている」(フジクラ)。

 エレクトロニクス関連メーカーが2011年10月下旬~11月上旬に発表した2011年度の業績見通しでは、タイの洪水被害が各社の経営に大きな影響を与えることが浮き彫りになった。浸水による操業停止という直接的な被害の他に、部品供給が滞るといった間接的な影響も広がり始めている。業績への影響を明らかにした機器メーカーや部品メーカーは一様に、2011年度の営業損益に与える影響を数百億円規模と試算する。

供給責任を果たす

 特に被害の大きいHDDでは、消費者への影響が表面化し始めた。アイ・オー・データ機器は2011年11月2日に、「部材調達が困難で価格が急騰しているため、やむを得ず価格の見直しを行う」と発表した。

『日経エレクトロニクス』2011年11月14日号より一部掲載

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